
アイリッシュな奥渋PUB
表立った主張をせずとも、魅力を発する店が軒を連ねる奥渋。
この度足を運んだのは、代々木公園駅から徒歩1分のタラモア。
【Irish Pub TULLAMORE】 住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-6-10 電話:03-3481-0216 |
読んで字のごとく、アイリッシュパブ。お代はもちろんキャッシュオン。
力を入れているのはビール。つまみの目玉は、フィッシュ&チップス。
「とりあえずビール(とりビー)」とはいかずに、
「とりあえずギネス(とりギー)」とやってみたくなりますね。
さて、冗談はさておき、先日はご近所の胃腸さんがしこたま肉を食したようで。
うだるような暑さが続く中、ぺろりと平らげてしまうなんて羨ましいやら、
豪気というやら…ちなみに私は肝臓です。
沈黙の臓器なんて言われておりますが、ここではウンとしゃべらせてもらいますね。
〜午後8時〜
(上司)37℃だよ。尋常じゃないね。華氏でいったら101℃だよ?
…いまいちピンと来ないね。
(肝臓)こんな暑い日にゃ、一杯やりたい頃合いかなと思いまして。
(上司)分かってるねえ。
(肝臓)へっへ、ウォーミングアップは済んでますんで。
蒸留酒だろうが、醸造酒だろうが、どんな手合いも一晩で分解してみせますぜ。
(上司)そうと決まりゃ、行くっきゃないね。善は急げだ。
…
(肝臓)とまあ、仕事もほっぽり出して、意気揚々と酒屋へ駆け込むこの上司。
店選びの基準は、店の外観一点張り。
食レポのサイトなんてひとっつもあてにしないもんだから、
こっちはいつも博打のお供をさせられてるって具合でね。
今日も今日とて、こちらの店舗に誘われて、ご来店。
(上司)良いねえ。良いねえ。パブはやっぱりこうじゃなきゃ。
(店員)いらっしゃいませ!ご注文こちらでお伺いします!
(上司)本場のスタイルさながらだね。
カウンターにわざわざこっちから出向いて注文しなきゃならん、
この手間がまたいい。
(肝臓)まずは、基本の基本。いろはの「い」から参りましょう。
「ギネス」に「フィッシュ&チップス」なんていかがですかね。
ギネス・ドラフト(¥980-)
フィッシュ&チップス(¥780-)
(肝臓)アイリッシュパブの代名詞と言っても過言じゃあない、
この2人が満を持してやってまいりました。
それはさながら、ホームズとワトソン、右京と薫、
ハンセン・ブロディ、オグシオ等々、相方なくして成り立たない!
ギネスとフィッシュ&チップスの掛け合いは、まさしくあざなえる縄のごとし。
食指が動いて歯止めが効きません。
(上司)んむ。んむ
(肝臓)ポテトと白身魚を揚げただけの料理。
シンプル故に旨い。
ビネガーを数滴たらして、通ぶるのが通の食べ方。
(上司)んむ。
(肝臓)タルタルソースに絡めたら、人目もはばからず箸上げをして…
(肝臓)気付くとグラスは既に空。
(上司)よくしゃべるね。
(肝臓)内蔵が元気であってこその晩酌かと思いまして。
さ、お次は何にしましょう?
(上司)いろはの「ろ」といえば、やっぱりクラフトビールと洒落込もう。
(肝臓)昨今のクラフトビールの隆盛は目を見張るものがありますからね。
1994年の酒税法改訂によりビール醸造事業に携わる人や自治体の数が…
(上司)小難しい話はさておいて。頼んじゃいますよ。
ええ。ゲストビール、うしとらブルワリーさんの
「あらごしマンゴーヴァイツェン(ARAGOSHI MANGO WEIZEN/ Tochigi, Japan)」。
(肝臓)下北沢のクラフトビアバー「うしとら」さんが手がける、
インド産有機アルフォンソ・マンゴーを使ったヴァイツェンですか。
濁り系で口当たりもとろっとしたネクター感のイメージですが、
果実のジューシーさと程よい苦み、小麦ビール特有の後味と香りに舌鼓。
フルーツビールですが、甘さ控えめで、ドライでライトなボディー感。
トロピカルな香りと甘み、青っぽさをアクセントに楽しめる、夏に相応わさしいいっぱい!
(上司)君は、ビール業界の営業マンか何かかい?たまげちまったよ。
(肝臓)おやもう空じゃあありませんか。相変わらずの飲兵衛ですねえ。
さて、そろそろ締めと洒落込んでもよいのでは?
(上司)おっと、実は気になるものがあってだね。
(肝臓)あちらに居並ぶウイスキーですかい。
(上司)いやいや、そっちも気になるんだがね、
やっぱり飲んだことの無い代物の方が、幾分魅力的でね。
(肝臓)いったい、どちらになりましょう。
(上司)ポチーンとはなんぞや。
(肝臓)ははあ、ポチーン。お目が高い。
とっておきの“密造酒”ですね。
聞き慣れない名前ですが、アイルランドの農家で、
こっそりひっそりお上の目を盗んで楽しまれてきた蒸留酒。
いわば、アイルランド版の焼酎。
(肝臓)アルコール度数は、驚き桃の木山椒の木の60度とあいなります。
泡盛を凝縮させたようなツンとするアルコール臭とはうらはらに、
大麦の甘さが思いのほか優しく、アブナイお酒の一角です。
目が覚めるのやら、へべれけになるのやら、
非常に悩ましいフィニッシュを味わえます。
(上司)やや!…これは!?
(肝臓)へえ、どうでしょう。
(上司)いや、君の言うことに偽りは無く、なかなかどうして飲みやすい。
ところで、自分の体が、もとい君(肝臓)のことが少々気がかりでね。
(肝臓)なに、ご心配には及びませんて。かたくなに、硬くならないよう、
努力はしますんで。ところで水を一杯いただけませんかね?
お酒は用法容量を守りながら、お楽しみください。
本格的なアイリッシュパブの雰囲気を味わいたいなら、是非、Irish Pub TULLAMOREへ!
【Irish Pub TULLAMORE】 住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-6-10 電話:03-3481-0216 |
縁の下の力持ち、沈黙の臓器、肝臓と上司が次に訪れる場所は…?